税務情報

国際税務とは?

2016.10.11   国際税務
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国際税務とは?

納税者側から見た、国際税務の主なテーマは、国際業務を行っている事業者に対する、各国の課税権をめぐる調整です。

国際業務がある場合、どのような課税上の論点があるかについて留意しておくことが必要であり日本において問題がなくても相手国で問題となる可能性があり、またその逆の場合もあります。

所得税

海外へ送金する際には源泉所得税に注意!

国内源泉所得を外国法人や非居住者に送金する際は、原則として、源泉所得税の対象となります。
これは、国内源泉所得については、日本の課税権を確実に実行するためだと思います。
一方で、海外から海外の源泉所得を受領する際は、原則として同様に海外で源泉されます。
その分、日本での手取り金額が少なくなりますが、その分については外国税額控除という形で日本における納税額から控除する方法で二重課税を防いでいます。

国内の支払でも、支払先が外国法人であったり、非居住者であったりすると、また、内容が、国内源泉所得であると、原則として、源泉税の対象となります。

国内源泉所得とは?

国内源泉所得とは、国内勤務に係る給与、利息、配当、ロイヤルティーの支払、国内に所在する不動産の賃料等で、税法上定められています。
個人の場合、課税上、非居住者、居住者、及び、永住者の区分がされそれぞれの区分別に課税所得の範囲や課税方法が異なります。
外国人の場合はどの課税区分に属するのかの確認が必要です。
居住者等の定義は、所得税法に定められています。
日本人の場合で海外転勤されている場合は、通常日本の非居住者となりますので、給与が一部日本で支給されていたとしても、勤務地が海外であり日本における源泉所得ではないので、日本では課税されません(役員の場合は別途規定があります)。

法人税

PE(恒久的施設)の議論

国際税務の世界ではその事業体がPEかどうかという判定が極めて大事になります。税務上PEと判断される場合には、日本においても海外においても、PEの所在する国で、法人税の申告の対象となるからです。
PEとはPermanent Establishmentの略で、日本語では恒久的施設と訳されています。詳細の定義は税法及び各租税条約にて定められているので確認が必要ですが、事業活動を行う上での一定の拠点、機能、施設等を指します。
例えば駐在員事務所等で支店登記していないような場合であっても実質的に日本において事業活動を行っている場合にはPEと見做され、その活動は日本での法人税の申告の対象となります。

移転価格税制

国際取引が国外関連者との間で行われる場合は、国際間の税の課税権をめぐる移転価格税制の問題をクリアすることが必要です。
海外の関係会社に高く製品を売れば、日本の課税所得は大きくなりますが、海外の関係会社は、課税所得が少なくなるという論点です。
そのため国外関連者との取引は独立企業間取引条件で行うことが求められています。
独立企業間取引条件の算定方法については、税法に定められています。

タックスヘイブン対策税制に応じた申告とは?

タックスヘイブンとは、「租税回避地」という意味です。
低税率国に実体のない会社を設立し、そこに課税所得を移転することによる、租税回避を防止するのが、タックスヘイブン対策税制の趣旨の概要です。
租税回避防止の具体的方法は、特定外国子会社(低税率国にある外国関係会社)の所得を、内国法人の所得に合算して課税します。
低税率の定義は、税率が、20%未満となっています。
日本の法人税の実効税率は、約30%です。
近年、各国が企業誘致を図る目的だと思いますが、法人税率を引き下げる傾向がありますので、将来的には、20%未満が更に引下げられる可能性があると思います。
法人税を課さない、更には、決算書の作成を要しない国があるそうですが、そういった国は、法人を誘致し、法人登記の定期的更新料が、その国の重要な収益源となっているという話を聞いたことがあります。

海外の親会社から借入金がある場合の留意点(過少資本税制)

親会社から借入金がある場合、その借入金の金額によっては支払利息が損金不算入となる場合があります(過小資本税制)。
これは、親会社から資本として資金調達した場合には損金不算入である配当金を支払うのに対し、借入金として資金調達した場合には損金算入できる支払利息を支払うというスキームを乱用していたずらに資金調達を資本ではなく借入で行うことを防ぐ制度です。
資本金の金額に比べて借入金の金額が相当に大きい場合には一度過少資本税制の適用がないかどうか確認することが必要です。

消費税

日本国外で行われる取引は、消費税の不課税取引となりますが、取引が国内で行われたのか、国外で行われたのかの、国内外判定が微妙な場合、その判定をしなくてはなりません。
本来、消費税の課税売上である取引を、不課税売り上げとして処理した場合、得意先に消費税の請求漏れと、消費税課税売上高の申告漏れが起こる可能性があります。
例えば、国外で行うイベントの受託業務は、消費税の課税取引となるか否か。
輸出を主な事業としている会社は、消費税の還付請求の可能性があります。
例えば、海外の関係会社の製品の販売促進活動を行っている日本の子会社が、海外の関係会社に対する、販売促進活動の対価を請求する場合、その役務提供は輸出売上となります。
一方で、国内での事務所家賃等の経費は消費税の課税取引であり、消費税が支払われますが、その他に売り上げがない場合は、支払った消費税は原則として全額、還付となります。

最近の税制改正(ここでの主たるものは、平成28年4月1日以降開始事業年度より施行)

海外の関係会社と課税所得に与える影響が重要な取引がある場合、移転価格に係る書類を揃える必要があります。
税制改正により、海外の関係会社と取引のある、ある一定規模以上の会社は、国別報告書、マスターファイル、及び、ローカルファイルを準備することが必要となりました。
取引規模が小さな会社でも、海外の関係会社と取引のある会社は、ローカルファイルに準じた書類を申告期限までに準備することが必要となりました。
外国法人であっても本店との取引については、移転価格税制の適用があることになりました。

OECDで、BEPS (Base Erosion and Profit Shifting:税源の浸食と利益移転防止)のプロジェクトの検討結果をふまえ、国別報告書、マスターファイル、及び、ローカルファイルを提出するという税制改正が行われました。
課税が実際に企業活動が行われ、価値を生み出している国で行われるようにする対策です。
低税率国にある関係会社を利用したBEPSを防止しようとすることだと思います。

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